―ジビエートプロジェクト語録― Vol.2 古代祐三(後編) 『映画先進国を意識した作品に仕上げたい』
2019.08.07 公開

―ジビエートプロジェクト語録―

映画先進国を意識した作品に仕上げたい』(後編

Vol.2 古代祐三

 

世界で成功を収めた日本のクリエイター達が、改めて日本の“和”を見つめ、世界へ発信する事をコンセプトに集まったのが、ジビエートプロジェクトである。どんな思いで関わっているのか、どうしたら海外で成功するかを取材からひも解くシリーズ企画。第二弾は、アニメ「ジビエート」で劇伴を担当する古代祐三氏。作曲したゲーム音楽は1000を下らないほどのレジェンドが、ゲーム業界に入る切欠、ジビエートへの期待を伺いました。

 

―ますますアーケードゲーム音楽の世界へのめりこみでいったんですね―

 

つづき(古代)「はい、私が中学の頃インベーダーゲームばかりでしたが、高校に入ると、沢山のメーカーがアーケードゲームを作るようになったんです。音楽で衝撃を受けたのは『ドルアーガの塔』(現:バンダイナムコ)でした。あの時代は『スペースハリアー』(現:SEGA)も流行っていました。当時、私はパソコンを持っていまして、ゲーセンで覚えた曲をパソコンのデータにする。その繰り返しでした」

 

―これを仕事にしようと思ったのは?―

 

(古代)「当時は、作品を発表する場所がほとんどなかったんです。たまたまですが、電波新聞さんが当時やられていたインフォメーションマガジンという雑誌でゲームミュージック特集をやっていて、作品の募集をしてて応募したんです。編集部へ直接持っていったんです。その音楽を聴いた編集部の方がびっくりして“それじゃ、君、連載やってみないか”と言われ。それが、この業界に入るキッカケです」

 

―連載は、ゲーム音楽のプログラミングを発表してた?―

 

(古代)「はい、私が連載を始める際、“ゲームミュージックプログラミングコーナー”というコーナーを作ってもらったんです。毎月、ゲーム音楽を聴いてコピーし、それのプログラミングを発表して。昔は、プログラミングごと掲載する雑誌がありましたから。それをずっと続けていたんです。そのあと、日本ファルコムさんへ入ったんです。バイトでしたが」

 

―日本ファルコム時代に、古代さんの代表作が生まれた―

 

(古代)「徐々にオリジナルのゲーム音楽を作り始めていたんです。当時、日本ファルコムがゲーム音楽の社員募集をしてて、また直接持って行ったところ“この曲、そのまま次のゲームに採用したい”となってしまい(笑)そのゲームというのは『ザナドゥ シナリオⅡ』というゲームです」

“『ザナドゥ』より先に、古代さんの曲が完成していた“

(古代)「ゲームは途中まで作っていたんですが、私の音楽を入れたいとなりまして。『ザナドゥ』の音楽は約半分程度、私が担当しました。そのあと『ロマンシア』、私の代表作となった『イース』と続いていったんです」

 

―なるほど。今までどのぐらいのゲーム音楽を作られたのでしょうか―

 

(古代)「ゲームはシリーズ作品1本あたり20から30曲。スマートフォンの場合は10曲以下。スマートフォンの場合は、そのあとに随時追加されていく感じですね。33年間、今まで作った曲数は、1000曲を超えていると思います。細々したものを入れたらきりがないくらいですね」

 

―1000とは凄まじいですね。そんな経験のある古代さんが、初めて関わるアニメ音楽第一弾『ジビエート』は、和をテーマにグローバルで展開していきます。『ジビエート』の音楽はどんな感じにしたいですか?―

 

(古代)「まだ構想段階ですが、和を直球で投げるよりも変化球的な、和を徐々に解体していくようなイメージを朧気に持っています。グローバルで展開すると聞いていますので、例えば、映画先進国である国で展開されることは、強く意識したいですね。しかし、作品を観てもらいたいので、音楽だけがとんがった作品にしようとは考えてなく、沢山のレジェンドの方々も参加される作品ですから、まさに“輪”を大事にしたいですね」

 

―最後に、古代さんがこれからやりたいことがあれば教えてください―

 

(古代)「youtubeがキッカケとなって日本の様々なコンテンツが注目されていますが、発掘して広める人は海外の人で、海外で火がついて逆輸入的なものが多いように感じます。日本人の人柄というか、自分で広めていこうという人が少ないように感じてます。そういうのをもう少し変えられると良いな、と思っています。そう思っていた矢先に、海外へ和を発信していこうとする『ジビエート』のお話を頂いたんです。日本の良さを自らの手でアピールする。そういった志を持ったクリエイター陣が集まった『ジビエート』に参画出来てうれしいですね」