―ジビエートプロジェクト語録―  Vol.天野喜孝(後編) 『日本で同じことをしていても結果が違う。ジビエートプロジェクトもそういう事だと思う』
2019.07.19 公開

―ジビエートプロジェクト語録―

『日本で同じことをしていても結果が違う。ジビエートプロジェクトもそういう事だと思う』(後編)

Vol.天野喜孝

世界で成功を収めた日本のクリエイター達が、改めて日本の“和”を見つめ、世界へ発信する事をコンセプトに集まったのが、ジビエートプロジェクトである。どんな思いで関わっているのか、どうしたら海外で成功するかを取材からひも解くシリーズ企画。第一弾は、天野喜孝先生。過去のルーツをたどりながら、これからのこと、ジビエートへの期待を伺いました。

―そして令和の時代に入ります。作品に対する考え方や今後、令和で考えている変化などあれば教えてください―

 

(天野)「令和になってから変わると思うんですよね。基本は変わらないと思うんです。作ったものを振り返ってみると、昭和と平成の時代で価値が違うと思うんですよね。そのあたりはどうでしょうか、青木さん」

 

(青木)「変わったのはメディアですよね。最初はテレビアニメ、その後ゲームが出てきて、今では携帯・スマートフォンとデバイスが進化してきたんです。時代とともに、新しいデバイスが出てきたときに、必ず天野さんの作品が世に出てきたと思っているんです。テレビが出た時にタツノコプロ、ゲームが出た時にファイナルファンタジーと。自分が意識していないところでオピニオンを取れている天野さんの作品は、コンテンツビジネスの世界では重要だと、実感しています」

 

―なるほど。ジビエートプロジェクトに参加をお願いしたのもその理由なんですね―

 

(青木)「まさにそうですね。最初から、グローバルを意識して取り組んでいくのがジビエートプロジェクトなんです。日本でウケたから海外へ行く。といった今までの商習慣ではなく、新しい世界を切り開いてきた人、グローバルで活躍してきた人にお願いしたいと考えていました。真っ先に思い描いたのは天野先生でした。天野先生とお会いしたのはちょうど2年前ぐらいでしょうか。何のコネもなく」

 

(天野)「そうでしたね。アニメもゲームの時も、世界で何とかしようとおもって作った訳ではないけれど、結果的にグローバルで認知されるようになった。いろんな要素があってそうなったと思う。ジビエートプロジェクトはその点、どうなるのか、僕も知りたい」

 

(青木)「そうですよね。ジビエートプロジェクトは、日本のクリエイターのオールスターコンテンツシリーズの第一弾として準備してきました。何を打ち出していくかと考えた時、日本人なのでやっぱり“和”だったんですよね。天野さんの作品は今まで“和”というよりは“洋”というイメージがあったんです。天野先生の“和”をアピール出来たらと。失礼ながら、その隠れた部分をコンテンツで引き出せたらと考えていました」

 

(天野)「僕だけじゃないと思うんです。和をイメージしても西洋のイメージがどうしても入ってきちゃう。昭和から平成にかけて、西洋文化が沢山入ってきて取り入れている」

 

(青木)「デバイスも進化し続ける中、令和に時代がかわるところで、世界に向けて和を取り入れた新しいコンテンツを提供していきたいと考えています。私たちが具体的に何を世に出していくか、まだ発表は出来てないですが、今すごく大変ですね」

 

(天野)「こんなエピソードがある。アメリカで出版したDCコミックでイギリスのSF作家ニール・ゲイマン原作「サンドマン 夢の狩人-ドリームハンター」(2000年)の作画を担当したんだけど、いまだにずっと出ている。スペイン語になったりフランス語になったりして。英語圏に出ていくと結果的に一気に広がる可能性がある。日本で同じことをしていても結果が違う。ジビエートプロジェクトもそういう事だと思う」

―昨年10月、三味線とのコラボレーション、令和元年には、日本人形とのコラボレーションが発表されました。いずれも日本伝統の“和”ではありますが、日本古来の文化に関する先生のご意見をいただけますか?―

 

(天野)「今でも残っているものは、質が高いものだと思います。人形も三味線そうですし、漆とか高いレベルのものは残っている。コラボするということは、問題は何を作るかということですね。技術がある。絵を作ることはできる。日本伝統の技術はすごいですから、その技術みたいなものが海外へ出ていく、という事は良いですよね」

 

―最近、日本の中小企業の技術も高齢化により継承含め情報発信もままならなくなっている状況です。日本の文化とコラボによって海外へ情報発信していくことに関してはどう思いますか?―

 

(天野)「東京以外にも、東北など地方にそういう企業は沢山あると思います。私たちも知らない企業が沢山あるかと」

 

(青木)「プロパガンダですよね。プロパガンダというのは一種の間口でもある。間口を広げるためには、こういったエンターテインメントが有望というか。昔は逆にエンターテインメントの方が、格が低くみられていたとおもうんですが、今は伸び悩んでいて、そのエンターテインメントでもって魂を吹き込んで、知ってもらう切欠にもなる」

 

―海外の人に言わせると、日本の工芸技術は素晴らしい。とも言われますが、メディアの変化に伴い、その技術を“動画”で見せる事が出来ます―

 

(青木)「珍しいと思うですよね。けれど今まで見る機会も無かったと。驚いたのは、日本人形の三味線の2つの業界はお互いのことを良く知らなかった。今回、お互いの会社を訪問して、ジビエートプロジェクトを通じてお互いを知る機会があった。時代の波に押され、このままじっとしていても業界が成長するかといったらそうじゃない。将来を悲観するまえに、手を繋ぎましょうというのがジビエートプロジェクトにあったんです」

 

(青木)「そういった中で、天野さんの絵が指針を決めるというか、アイコンとして必要だと思うんです。それを目標にして頑張れると」

 

(天野)「ジビエートプロジェクトは、青木さんが企画をし、過去の垣根を越えて沢山の日本のクリエイターが参画している。日本伝統もエンターテインメントを通じてコラボする事になるのと同様に、新しい時代に向けて時代に合ったエンターテインメントの在り方を発信していくことを期待しています」

 

(青木)「ありがとうございます。頑張ります」